サイドスカーリングです。このワザにはレイバック系ロールの基礎がギッシリ詰まってます。スランプに陥ったらサイドスカーリングに立ち戻れというマスターもいるぐらいです。グリーンランド・ロールの数々を極めようと思う方は、ぜひモノしてください。ちなみにグリーンランド語(カラーリット語)ではInnaqatsneq aalatsilluniで、Innaqatsneqはレイバックを意味し、aalatsilluniはスカーリングを意味するものと思われます。
タイトなグリーンランドカヤックにおいては、十数分乗っただけで背中や腰にくることがあります。そんなとき、このサイドスカーリングがとても重宝します。まさかの、海上でのストレッチ。モダンシーカヤックのテクニックで言うとハイブレースの応用(手のひらを上に向けて)です。ちなみにグリーンランドの競技会では、2002年から「カヤックを垂直にキープ」ということで難易度が上がりました。その割りには“2ポイント/片側”というショッパイ点数です。実用においては、カヤックを水平に近い傾きにしてのサイドスカーリングが理に適っています。“垂直”じゃ休憩できません。
ポイント

①手首の返しでブレードに角度をつけます。パンにバターを塗るような動きを前後に繰り返します。
②胸付近にほぼ固定で、ピボットの役割になります。
③肩のラインは水面と水平になるようにします。肩を立ててしまうと、途端にカラダが沈みますので、要注意。
④アタマのてっぺんを底へ向けるようにして重心をコントロールします。
⑤膝でデッキを押し上げます。


マスターズ・チップス
田中さん:左右の肩と肩を結ぶ線はできるだけ海面に平行にし、パドル操作というよりも、身体とパドルの浮力で浮く感じですかね。慌ててパドルをバシャバシャ動かすと「助しけて~」ってなスカーリングになってしまうので要注意。


魚住さん:カヤック浮く、パドル浮く、カラダ浮く。を体現しましょう!


ジョンさん :ロールではありませんが、グリーンランドでは最初に習うセルフレスキューの方法です。不意に沈をしてしまったときに、慌てずにリカバリーできます。シンプルなワザほどセルフレスキューとしての有効性は高く、グリーンランドの子供たちはカラダが自然に反応するまで練習を重ねます。


アプローチとフィニッシュ

スカーリング自体の動きには問題ないのだけど、アプローチとフィニッシュはどうすればいいのか?という質問を受けます。特に始めて間もない方に多いようですね。下記に二つの方法を挙げますので、試してみてください。

スターンデッキに寝るような格好になり、そのまま水面へスライド。フィニッシュはこの逆になります。ブレードを水に差し込んでブレースを作るとさらに安定するでしょう。左の画像にカーソルを置くとアニメーションをご覧いただけます。


上の方法より少し難易度が上がります。バウ側にパドルを差し込んで、スイープしながら体重をブレードに預けつつ、海面に寝ます。フィニッシュは、スカーリングの後、スターン側へスイープしながら上体を移動させ、そのままデッキにスライドです。
ブレードでブレースしながら起き上がると安定性を確保できます。

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